2024年問題への対応が急務の建設業界では、長時間労働の是正や人手不足の解消が喫緊の課題です。本記事では、それら業界特有の課題を解消した「業務改善事例」を厳選してご紹介。IT活用や組織改革を通じた実効性の高い施策事例を確認してみましょう。
鹿島建設株式会社の中部支店では、長時間労働や土曜出勤が常態化していました。「現場が忙しすぎて働き方改革など不可能だ」という空気が根強く、変革へのハードルは非常に高い状態にありました。
そこでワーク・ライフバランス社は、組織診断と管理職研修を先行して実施。3つの現場をモデルケースに設定し、オンラインツールを活用した支援と「カエル会議」の導入を図りました。この会議では若手が主体となって業務内容を精査し、スケジュールの可視化を徹底。その結果、重複していた巡視や過剰な説明対応が整理され、1人あたり月約40時間の余剰時間を創出するに至りました。
特筆すべきは、支店長がトップダウンで休日確保の方針を明文化した点です。発注者との工期交渉や工法の再検討まで踏み込んだことで、単なる残業削減の枠を超え、現場全体の意識改革へと昇華されました。若手とベテランの対話も活性化し、社内には組織全体で仕事の進め方を見直す潮流も生まれました。
投資用新築アパートの企画から施工、販売、賃貸管理までを一気通貫で手掛けるアメニティジョイハウス。同社では、部署ごとに同一データを打ち込む重複作業や、部門間での進捗共有漏れによるミスが大きな課題となっていました。
支援に入ったTOMAコンサルタンツグループは、既存のkintoneを基盤に据え、各部署への丹念なヒアリングとプロトタイプによる検証を積み重ねて、案件の全工程を一元管理できる新しい基幹システムを構築。部署を横断して「共通言語」となる入力項目や画面設計を整えたことで、進捗状況や業務負荷の偏りが可視化され、二重入力や転記ミスが大幅に抑制されました。
導入から約1年が経過したころには、現場の社員が違和感なくシステムを使いこなす文化が定着。蓄積されたデータを基に、仕事量の平準化やさらなる生産性向上に向けた具体的な施策を検討できる体制へと進化を遂げています。
足場や土木工事を手がける従業員100名規模のA社では、材料費や人件費の高騰で利益が圧迫されている状況でしたが、現場ごとの損益をタイムリーに把握できず、年度末にならなければ最終的な採算が判明しないという深刻な課題を抱えていました。
既存の原価管理システムも形骸化していたため、アクタスはまず詳細なIT業務診断を実施。経営層から現場、IT担当者に至るまで入念なヒアリングを重ね、「現場別損益の可視化」と「在庫管理の刷新」を最優先事項として定義しました。
そのうえで、工番管理のルール化や見積承認フロー、原価入力の運用フローを具体的に設計。投資額の目安を含めた候補システムの選定まで踏み込みました。経営陣と全従業員が改革の方針を共有したことで、単なるツール導入に留まらない、組織一丸の業務改善へ突き進む強固な体制が構築されています。
2024年より、建設業界では時間外労働の上限規制が適用され、長時間労働を前提とした工期や工程管理の抜本的な見直しを迫られています。
過酷な労働環境が解消されなければ若手の採用は進まず、熟練技能者の大量退職に伴う技術承継の停滞も避けられません。人手不足を残存社員の残業で補う手法は、もはや限界を迎えています。工期設定の適正化や発注者との交渉、現場管理のIT化、業務分担の再定義など、事業構造そのものを変革する視点が不可欠な状況です。
多くの建設会社では、紙の伝票や図面、メール添付のエクセルなどが混在し、最新情報の所在が不透明になる課題を抱えています。現場では「どの図面が最新か」「誰の承認を得たのか」を確認するための連絡コストが増大。結果として、不要な残業や手戻りが頻発する悪循環に陥っています。
安全書類や写真、工程表など、プロジェクトごとに扱う情報は膨大。一元管理の仕組みを欠いたままICTツールを部分導入しても、入力負担ばかりが先行して現場に定着しないというジレンマに陥る可能性があります。
現場と本社、あるいは技術部門と管理部門の間に生じる溝もまた、建設業界特有の根深い問題です。本社側が法令対応や原価管理を重視する一方で、現場側は日々の安全確保と工期順守に追われ、施策の真意が伝わりにくい状況。結果として、エクセル報告や写真提出といった事務作業が「本社のための仕事」と捉えられれば、協力会社を含めた連携体制の構築を阻害しかねません。
現場の実態を緻密に汲み取り、双方が納得できる運用フローへと落とし込む姿勢が、今まさに建設業界には求められています。
建設テックの導入により、現場写真や工程表、図面などをクラウド上で一元管理が可能となります。現場・本社・協力会社が同一の情報をリアルタイムに共有できれば、問い合わせ対応の工数や手戻りの削減が期待できるでしょう。また、センサーやドローンとの連携は、安全管理や進捗把握の精度向上にも大きく寄与します。
現場事務員を戦力として配置し、書類作成や写真整理、発注・検収などの事務作業を集約します。現場監督が本来の役割である安全管理や工程調整に集中できる環境を整えれば、長時間労働の是正とミスの防止を同時に目指せるでしょう。あわせて協力会社との窓口を一本化すれば、対応のバラつきも抑制されます。
紙の図面や伝票をクラウド帳票へ置き換えることで、現場と本社の情報共有スピードは劇的に変化します。変更指示や承認履歴をオンラインで即座に確認できるため、最新版の所在を電話で確認する手間や紛失リスクも低減。過去データの検索性も高まり、クレーム対応や業務の振り返りにおける質的な向上が見込めます。
優秀な人材を確保するためには、従来の「きつい・汚い・危険」から「給与・休暇・希望」の揃った職場環境への転換が不可欠です。残業前提の工程や休日出勤を高度に是正し、制度と運用の両面で働きやすさを追求すれば、若手人材の採用と定着が促進されるでしょう。明確なキャリアパスや教育機会も提示し、将来像を描きやすい職場作りが重要です。
建設業界における業務改善は、長時間労働や人手不足といった目前の課題を解消するだけに留まりません。むしろ、そうした諸問題を根本から解決するためには、工期設定のあり方や情報共有のフローなど、業務プロセスそのものを抜本的に見直す視点が極めて重要です。
今回紹介した事例に共通しているのは、ICTの導入や役割分担の変更を行う前に、「どの業務を削ぎ落とし、何に時間を投下すべきか」を明確に定義した点にあります。ツールはあくまで目的を達成するための手段に過ぎません。現場と本社が真摯に対話を重ね、自社の実態に即したプロセスとルールを再設計することこそが、建設DXを成功に導く確実な一歩となります。
業務改善を進めるにあたっては、自社の課題や体制に合った支援パートナーの選定が重要です。ここでは、部署別の業務課題に対応し、アウトソーシングも含めた柔軟な支援が可能な業務改善コンサル会社をご紹介します。

経理部門のアウトソーシングを35年※1継続し、顧客満足度85.5%※2と質の高いサービスを提供。
ITコーディネータが17名在籍※3。業務のボトルネックを可視化し、独自ツールの開発を含めて課題解決まで伴走支援。

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総務領域で25年※1の実績を誇る。属人化・ブラックボックス化した業務を可視化し、効率化に導く。
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